何を選べばいい?安心の家づくりのための断熱材メリット・デメリットまとめ

断熱性能

昨日に引き続き”断熱材”についてです。「高気密・高断熱の家」といって皆さんが気になる断熱材ですが、その役割は何でしょうか?実は断熱以外にも重要視すべき性能や材料ごとの特性があるのです。

役割や特性については、昨日の記事

「【住宅検討中の方へ】断熱材とは?理解したうえで安心・納得の家づくりを!!」

で詳しく解説していますので、気になる方はご覧ください。

さて、今日の本題は

家づくりで悩まれている方々へ!

営業さんから「うちの断熱材は○○を使っているから性能良いんですよ!」って言われて本当にそうなの?って思った方々へ!

断熱性能を調べたら「ここのメーカーの断熱材は○○で、こっちは△△で、、、」って言われて、だからどうなんだ?と思った方々へ!

断熱材の役割については理解したけど、何をどう比較したらいいのか分からない。。。

物質の原料なんて言われてもよく分からない。。。けど、ちょっと待ってください。本当にその断熱材で安心できますか? 残念ながら特に吹き付け断熱に関して、少し使用するのをためらうような情報もあります。

そこで、主な断熱材についてメリット・デメリットとその商品例をまとめました。より納得して自分に合った断熱材を選ぶために!少しマニアックになってきましたが、ご覧ください。

断熱材の種類

ここでは、断熱材の種類について解説していきます。

断熱材には大きく分けて2種類あり、”繊維系”と”発泡樹脂系”になります。

繊維系断熱材

ガラスや紙、木などを細かな繊維状にして空気を閉じ込めた断熱材

中でも、ⅰ,グラスウールやⅱ,ロックウールなどの無機質系は比較的安価で耐久性や防音に優れています。

ⅲ,セルロースファイバーのような木質系のものは、結露を防ぎやすく防音効果がありますが比較的高価です。

発泡樹脂系断熱材

発泡樹脂とは、発泡したプラスチックのことです。言葉の通り発泡しているので、その中に多くの空気を含んでいます。

先ほどの繊維系より断熱に優れていることが多いですが、熱には弱いです。そもそもプラスチックとは石油から生成された合成樹脂ですので、、、

発泡樹脂系には、ⅳ,ポリスチレンフォームやⅴ,硬質ウレタンフォームといったものがあります。また、さらに断熱性能に優れた上に燃えにくいⅵ,フェノールフォームもありますが非常に高価です。

そのほかに

なお、そのほかにも羊毛やコルクなどの天然素材を用いた断熱材もあります。非常に高価で施工できる業者も少なくあまりポピュラーではありません。

断熱材ごとのメリット・デメリット

それでは、断熱材ごとの熱伝導率[W/(m・K)]や特徴を見て、メリット・デメリットを確認しましょう。

繊維系断熱材

ⅰ,グラスウール

  • 熱伝導率 … 0.033~0.050 ⇒高性能な断熱性能は高い
  • リサイクルガラスから作られており安価
  • メリット ○燃えにくい
         ○防音・防虫効果がある
  • デメリット △水分に弱く、湿気対策が必要
  • 施工性 … 敷き詰め。非常に高い、簡単に施工できる。⇒業者による差が少ない。気密シート施工が必要。

「アクリア」 旭ファイバーグラス

引用:旭ファイバーグラス

ⅱ,ロックウール

  • 熱伝導率 … 0.035~0.047 ⇒グラスウールより若干断熱性能は高い
  • 鉱物由来(岩石)の素材。グラスウールと同様に安価
  • メリット ○燃えにくく断熱性に優れる
         ○防音効果がある
         ○水分に強い
  • デメリット △グラスウールより施工性は劣る
  • 施工性 … 敷き詰め。グラスウールよりは劣るが、吹き付け等よりは簡単。気密シート施工が必要。

「ホームマット」 ニチアス

引用:ニチアス

ⅲ,セルロースファイバー

  • 熱伝導率 … 0.038~0.040 ⇒断熱性能は高い
  • 段ボールや古紙やおがくずなどの天然素材。
  • メリット ○耐火性能
         ○防音・防虫効果がある
         ○吸湿性があり調湿効果がある
  • デメリット △高額である
          △施工方法が特殊
  • 施工方法 … 吹き込み。壁などの中にブローで吹き込む。やや特殊。

「comfibe」 株式会社 兼久

引用:株式会社 兼久

発泡樹脂系断熱材

ⅳ,ポリスチレンフォーム

  • 熱伝導率 … 0.024~0.043
  • 「ビーズ法」と「押出法」がある。比較的安価。
  • メリット ○断熱性能に優れている
         ○軽量で水に強い、結露を防ぎやすい
         ○施工が簡単
  • デメリット △熱に弱く、燃えると有毒ガスが出る
  • 施工方法 … 貼り付け。形状に合わせてカットし貼り付ける。簡単。

ビーズ法ポリスチレンフォーム 「EFR」 株式会社 高本コーポレーション

引用:株式会社 高本コーポレーション

押出法ポリスチレンフォーム 「スタイロフォーム」 デュポン・スタイロ株式会社

引用:デュポン・スタイロ株式会社

ⅴ,硬質ウレタンフォーム

  • 熱伝導率 … 0.023~0.040
  • ポリウレタン樹脂に発泡剤を使用し、吹き付け施工することが多い
  • メリット ○断熱性能が高い
         ○軽量で水に強い、結露を防ぎやすい
         ○気密施工が簡単
  • デメリット △施工が難しく、業者によっては、、、
          △高額になる
          △蓄熱性が高い→冬は暖かいが、夏は輻射熱を蓄えてしまう。
          △イソシアネート成分を含む(→後に解説)
  • 施工法 … 専門業者による特殊な吹き付け施工。逆に品質は保持できる。

「アクアフォーム」 株式会社日本アクア

引用:株式会社日本アクア

ⅵ,フェノールフォーム

  • 熱伝導率 … 0.019~0.036
  • フェノール樹脂に発泡剤や硬化剤を用いてボード状にしたもの
  • メリット ○熱伝導率が低く、断熱性能に優れる
         ○熱で硬化する性質を持ち、耐火性に優れる
         ○燃えても有毒ガスが発生しない
    • デメリット △高額
    • 施工法 … 貼り付け。形状に合わせてカットし貼り付ける。簡単。

「ネオマフォーム」 旭化成建材

引用:ネオマフォーム

【注意】健康被害の可能性

イソシアネートという成分

−N=C=O という部分構造を持つ化合物のことで、ポリウレタンの材料になる。

皮膚や眼に加えて呼吸器に有害性があり、急性では気動刺激による咳および呼吸困難、慢性では喘息および肺機能低下が挙げられる。

Wikipedia

では具体的に、どのような状況にあるとどのような被害があるのか。これは、ウレタン原料工業会の「安全の手引き」に記載されていますので興味のある方はご覧ください。

EUでは制限物質に

【EU】欧州委員会、ジイソシアネートの REACH 規制を採択
2022 年 2 月 24 日以降、ジイソシアネートは、欧州市場で、単独での上市、または他の物
質の構成成分として、あるいは、工業用および業務用の混合物として、以下の要件を満た
さない限り、0.1 重量%を超える濃度での上市はできなくなります。
要件
供給者は、物質または混合物の受領者に、「2023 年 8 月以降は、取扱者が事前に安全教育
を受ける必要がある」という情報が提供され、その旨、包装上に明確に記載されている
こと。
また、2023 年 8 月以降は、以下の要件を満たさない限り、使用が禁止となります。
要件
取扱者が安全な使用に関する教育を受けていること。

情報機構

ということで、ヨーロッパでは基本的に”イソシアネート”は成分または混合物としての使用が基本的に禁止されることになりました。

これは、イソシアネートの皮膚や眼、呼吸器への有害性からのことです。

断熱材としての危険性

イソシアネートは、吹き付け断熱を施工する際、つまり発泡する際にごく微量が発生します。そのため製造時には確かな対策が必要なものです。

しかし、施工後に固まったものからどれほどの健康被害が出るのかは分かりません。

不必要に不安をあおってもいけないと思いますので、結論ははっきりとは申し上げません。しかし、ヨーロッパでは規制がかかっていることは事実です。

どのような危険性を含んでいるのか。正しく認識し納得したうえで選択するようにしましょう。

まとめ

結局、1番良い断熱材は?

熱伝導率が高いことが最も大事な要素。そして、水に弱かったり火に弱かったり断熱性能以外の部分でもデメリットの少ないもの。これが最も良い断熱材となるのではないでしょうか。

この考え方で1番良い断熱材を決めると、

フェノールフォームの「ネオマフォーム」

だと判断します!

大切なのは、どれだけの断熱性能を出せるのか。

ただし、ネオマフォームは高価です。予算に合わない場合もあるかと思いますし、大手メーカーでも別の断熱材を用いて高性能な断熱性能となっているところもあります。

例えば、一条工務店の断熱王はUA値が0.2以下ですが、高性能ウレタンフォームを用いています。

結局のところ、断熱材で何をしたいのか?

それは間違いなく、断熱をしたいのです。

つまり、断熱材に何を使うのか?

ではなく、何を使うことでどれだけの断熱効果を出せるのか?

これが重要なわけです。

安心の家づくりのための断熱材の選び方

結論から

断熱材に何を使うのかはメーカーに任せましょう。それぞれのメーカーで得意とする施工方法があります。どれだけ良い断熱材を用いても施工の質が悪ければ効果は発揮しません。

何の断熱材を用いているのかで、どのメーカーを選ぶのかを考える一つの材料とするべきだと考えます。

水に弱かったり、火に弱かったりするものもありますが、メーカーの方々はプロですのでそんなことくらい分かっています。分かっているはずです。。。

ただし、それでは納得できません。安心できません。もしかしたら騙されているのではないか。そんな不安が残ってしまう場合には

使用予定の断熱材に対して「この断熱材はこのようなデメリットがあると聞いたのですが、、、」と聞いてみましょう。どのような対策をしているのか教えてくれるはずです。

ここで、答えられない、考えなくても大丈夫みたいにごまかされたら、そのハウスメーカーは考えた方が良いかもしれませんが、、、

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